『抱きしめてジルバ』の真の真価が発揮されたのは、当時のテレビ生放送のステージでした。特にフジテレビ系列の看板音楽番組『夜のヒットスタジオ』でのパフォーマンスは、今もファンの間で語り継がれる伝説となっています。
スタジオに生演奏のオーケストラが鳴り響く中、スポットライトを浴びた西城はマイクを両手で握りしめ、身をよじるようにして歌詩の世界を具現化しました。汗を光らせながら一音一音に感情を込め、ラストのサビへと向かってエネルギーを解き放つ姿は、もはやアイドルの領域を遥かに超越した「孤高のロックシンガー」そのものでした。
生放送の一発勝負という過酷な環境でありながら、音程の正確さはもちろんのこと、声量とダイナミクス、歌詞の情景を届ける表現力において圧倒的なクオリティを維持し続けました。スタジオの共演者や音楽関係者が息を呑んで見守ったそのステージは、西城秀樹の歌唱力が日本音楽界の頂点に位置することを決定づけた瞬間でした。