『KICK BACK』が放つ異様なフックの正体は、モーニング娘。の往年のヒット曲「そうだ!We're ALIVE」のフレーズである「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR」のサンプリングにある。誰もが耳にしたことのある平成のポップアンセムを、退廃的なオルタナティブ・ロックの渦中へと放り込む大胆不敵なアイデアは、多くの音楽評論家やリスナーを唸らせた。
つんく♂の生み出した泥臭くも力強いフレーズが、デンジの渇望する日常のリアリティと残酷なまでに合致する。過去のJ-POPの遺産を懐古主義に逃げることなく、全く新しいコンテクストへと昇華させる米津の手腕は、日本のポピュラー音楽が持つ可能性を鮮やかに更新してみせた。