日本のテレビドラマの歴史において、戸次は記憶に残る名キャラクターをいくつも生み出してきた。代表格の一つが『おっさんずラブ-in the sky-』で演じた熱血整備士・四宮要役だ。内に秘めた切ない想いと不器用な優しさを繊細に表現し、視聴者の胸を締め付けた演技は今なお語り草となっている。
かと思えば、『昼のセント酒』で見せたコミカルなサラリーマン像はどうだ。平日の昼間から銭湯に浸かり、渇いた喉にビールを流し込むときの恍惚とした表情。日常のささやかな背徳感をこれ以上ないリアリティと愛嬌で体現し、多くの視聴者の共感を呼んだ。
シリアスな医療モノ、骨太な時代劇、日常系コメディ。どのジャンルに放り込まれても作品のトーンに溶け込みつつ、しっかりと自身の爪痕を残す。その柔軟性こそ、名バイプレイヤーと呼ばれる所以である。