そもそも、ノーラン版のバットマンにはコミックのような典型的なサイドキックは存在しなかった。だが、彼が完全に一人きりで戦っていたわけではない。精神的な支柱であり父親代わりでもあった執事アルフレッド、ハイテク兵器の供給と道義的羅針盤を担ったルーシャス・フォックス、そして腐敗したゴッサム市警の中で唯一信頼を結んだジム・ゴードン警部補。彼ら全員が、それぞれの形で闇の騎士の「相棒」を務めていたと言える。
とりわけゴードンとの関係性は、単なる協力者を超えた魂の共鳴を感じさせた。『ダークナイト』のラストシーンで、街の希望を守るためにすべての罪を被って闇へと消えるバットマンを見送ったのはゴードンだった。「彼はヒーローではない。沈黙の守護者、我々を見守るダークナイトだ」という名台詞は、二人の間に言葉を超えた絶対的な信頼関係=相棒関係が成立していた証拠にほかならない。