18世紀末から19世紀初頭にかけてヨーロッパを席巻した新古典主義は、明快なデッサン、秩序ある構図、そして古代ギリシャ・ローマの英雄的倫理を重んじる美術運動だった。この厳格な様式美を、ナポレオン体制は自らの権力基盤を固める装置として最大限に活用した。
ダヴィッドはフランス革命期には熱烈なジャコバン派としてルイ16世の処刑に賛成票を投じた男だが、政情の変化とともにナポレオンのカリスマ性に魅了され、首席画家に就任した。彼の描く歴史画は、革命の混乱に疲弊したフランス国民に対し、強固な秩序と古代帝国の栄光を想起させる強烈な視覚的メッセージを放った。
理性と均整を重んじる芸術規範が、皮肉にも個人の独裁を正当化する道具へと転化していく――ダヴィッドの卓越した筆致は、美学と権力が結託したときの恐るべき破壊力を今に伝えている。