当時、フジテレビ系で放送されたドラマ版『リング』は、映画版とは異なるアプローチで視聴者を恐怖のどん底に突き落とした。その中心にいたのが、まだ無名に近かった木村多江だ。彼女の持ち味である儚げで上品な佇まいが、怨念の化身である貞子と融合した瞬間、お茶の間は凍りついた。
長い黒髪から覗く、冷徹でありながらもどこか哀愁を帯びた瞳。映画版の貞子が物理的なモンスターとしての恐怖を体現していたのに対し、テレビ版の彼女は「人間としての悲しみ」を強く残していた。それがかえって、視聴者の心に深い爪痕を残すことになったのだ。