奇跡の生還を果たした2頭は、その後どのような道を歩んだのか。ジロは昭和基地に残り、第四次・第五次越冬隊のソリ犬として現役で任務に従事し続けた。しかし1960年7月、昭和基地にて5歳で病死。その短い生涯を南極の地に捧げることとなった。
一方のタロは、1961年に無事日本への帰国を果たす。生まれ故郷である北海道の北海道大学植物園で手厚く保護され、多くの人々に愛されながら1970年まで生き抜いた。享年14歳7ヶ月。犬としては大往生と言える平穏な晩年であった。
現在、タロの剥製は北海道大学植物園に、ジロの剥製は東京・上野の国立科学博物館にそれぞれ展示されている。離れ離れの地で静かに佇む2頭の姿は、訪れる人々に半世紀以上前の奇跡と、人間の歴史に巻き込まれた使役動物たちの運命を無言で伝え続けている。