聴神経腫瘍の治療において、患者が最も恐れるのが術後の後遺症(顔面神経麻痺)です。聴神経と顔面神経(顔の表情を作る神経)はミクロン単位の薄い膜を隔てて密着しており、腫瘍を剥離する際に顔面神経へダメージが及ぶと、片側の顔が下がる、目が完全に閉じない、口から水がこぼれるといった麻痺が生じます。
2026年現在の脳神経外科手術では、「術中神経モニタリング」と呼ばれる高度な技術が標準化されています。手術中に電気刺激を与えて顔面神経の反応をリアルタイムで波形監視しながら作業を進めるため、不可逆的な神経切断のリスクは過去と比べて大幅に低減しました。腫瘍を100%無理に取り切るのではなく、神経に癒着したごくわずかな被膜を残して顔面機能を最優先で温存し、残存部にガンマナイフを当てる「ハイブリッド治療」も定着しています。
顔面神経麻痺や残存聴力の温存率は、執刀医の技術と手術件数(ハイボリュームセンターでの実績)に大きく左右されます。闘病記ブログや患者コミュニティでも「どの医師に執刀してもらうか」が最大の関心事として語られています。名医を探す際は、年間症例数、顔面神経の温存率実績を包み隠さず開示してくれる施設を選び、迷いがあれば積極的にセカンドオピニオンを求めることが後悔のない結果につながります。