モネの軌跡を辿る旅は、海を越えて日本にも深く結びついている。東京・上野の国立西洋美術館には、実業家・松方幸雄がモネ本人から直接購入した大作『睡蓮』が所蔵されている。第二次世界大戦の混乱を生き延び、奇跡的に修復されたそのキャンバスには、パリで観るものとはまた異なる重厚な筆致が息づく。
一方、パリのマルモッタン・モネ美術館には、画家の遺族から寄贈された晩年の個人的な習作や実験作が最も豊富に揃う。さらに近年では、Google Arts & Cultureなどのデジタルアーカイブ技術の進化により、超高解像度のギガピクセル画像で筆跡の毛羽立ちまで自宅にいながら観察できるようになった。現地での空間体験と、デジタル技術による極微の筆致観察。双方向からのアプローチが、作品鑑賞の解像度をかつてない次元へと引き上げている。