これまで抹茶といえば、複数の茶葉をブレンドして味のバランスを整える「合組(ごうぐみ)」が主流だった。しかし今、市場を牽引しているのは「あさひ」「碾茶(てんちゃ)ごころ」「おくみどり」といった単一品種の個性をそのまま引き出したスペシャリティ抹茶だ。
浅草の静かな一角に店を構えるあるスタンドでは、注文を受けてから茶師が客の目の前で一缶ずつ品種の違いを説き、茶筅を振る。品種特有の爽快な旨味、柑橘を思わせるみずみずしい香り、あるいはナッツのような芳醇なコク——。コーヒーの豆を選ぶように抹茶の品種を選ぶ光景は、もはや特別なものではなくなりつつある。