1989年のデビュー後、三石琴乃の名を一躍全国区に押し上げたのが、1992年に放送開始された『美少女戦士セーラームーン』の主人公・月野うさぎ役です。おっちょこちょいでありながら仲間を包み込む慈愛に満ちた声を完璧に演じ分け、社会現象を巻き起こしました。当時20代半ばだった彼女は、作品の大ヒットに伴い各種メディアへ露出する機会が急増し、文字通り時代のアイコンへと駆け上がります。
さらに1995年、社会現象となった『新世紀エヴァンゲリオン』で葛城ミサト役を担当。明るく奔放な大人の女性でありながら、内面に深い孤独と葛藤を抱える複雑なキャラクターを熱演し、演技派声優としての評価を決定づけました。少女から大人の女性までを自在に行き来する表現の幅広さは、同業の声優仲間や音響監督からも「唯一無二の声の質感」と絶賛されました。
この時期には、セーラームーンのメインキャスト陣による声優ユニット活動やソロ名義でのCDリリース、ライブステージなど、現在の「声優アーティスト」のビジネスモデルの礎となる活動を次々と成功させています。まさに日本のポップカルチャーが変革を迎えた瞬間の中心に、彼女の存在がありました。