レトロブームに乗り、ネットオークションやフリマアプリで昔のラジオを入手しようとする愛好家が増加しています。しかし、ネット上のコミュニティや専門リペアショップの現場取材からは、安易な購入に伴う厳しい現実が浮かび上がってきます。
SNSやネット掲示板の愛好家コミュニティに寄せられる生の声には、次のようなトラブルが頻発しています。「『通電確認済み』と書かれた昭和40年代のラジオを購入したが、内部の電解コンデンサが液漏れしており、煙が出て異臭が充満した」「短波ラジオを買ったものの、現代の高層マンション内ではLED照明やPCのスイッチングノイズに埋もれ、国内AM局すらまともに受信できなかった」といった悲痛な証言です。
特に真空管ラジオの導入には注意が必要です。当時の配線材は絶縁皮膜が劣化してショートしやすく、適切なヒューズ交換やペーパーコンデンサの現代化を行わずにコンセントへ挿す行為は、発火事故につながる危険性を孕んでいます。専門の修理工房によると、「当時のオリジナル部品をそのまま使って直すことはほぼ不可能であり、現代の高耐圧フィルムコンデンサ等に置き換えるレストアが必要」とのことです。修理費用は基本工賃だけで15,000円〜30,000円程度、部品交換が重なれば本体の購入価格を大きく上回るケースも珍しくありません。