「を」は「お」か「うぉ」か?地域ごとの読み方と発音境界線の真相

「を」は「お」か「うぉ」か?地域ごとの読み方と発音境界線の真相

「を」は「お」か「うぉ」か?地域ごとの読み方と発音境界線の真相とは一体何なのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。

そもそも、日本語の歴史において格助詞の「を」は本来どのような音だったのか。言語学者の金田一春彦をはじめとする多くの国語学者は、平安時代以前の「を」が明確な唇の円形化を伴うハッキリとした[wo]音であったことを指摘している。

時代が下るにつれて「お」と「を」の音韻統合が進み、室町時代から江戸時代にかけて両者の区別は徐々に曖昧になっていった。音声学の観点から見れば、人間は発声の省力化を求める生き物だ。口唇をすぼめる動作を省略し、単なる[o]へ収束していく流れは自然な音韻変化だったと言える。だが、地域ごとの孤立したコミュニティや特定の文法機能を重視する地域では、古い時代の[wo]の響きが方言としてそのまま保存された。「方言は古語のタイムカプセルである」という言語学の金言通り、私たちが耳にする「うぉ」は千年前の都の響きを今に伝える貴重な音の遺産なのだ。

田中 結衣
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田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。