明治維新という未曽有の大変革期において、歴史の表舞台に名を残した男性たちの陰には、確かに彼女たちの日常があった。主演の井上真央が演じた杉文は、吉田松陰の妹であり、久坂玄瑞の妻、そして後に楫取素彦(小田村伊之助)の妻となる人物だ。運命の翻弄を受け止めながらも、自らの足で立ち続けた一人の女性の等身大の姿を見事に表現している。
放送当時、従来の権力闘争を中心とした歴史ドラマとは一線を画す「ホームドラマとしての幕末」というアプローチは大きな議論を呼んだ。だが時が経った現在、その独自の視点は作品最大の魅力として再評価されている。志士たちの熱量だけでなく、彼らを炊き出しや手紙の代筆で支えた女性たちのしなやかな強さこそが、激動の時代を突き動かす隠れた原動力だったのだ。