Nの過去は、歴代のポケモン登場人物の中でも群を抜いて過酷かつ特異なものです。幼少期のNは人里離れた森の中で、ヒヒダルマやチョロネコといった野生のポケモンたちと共に暮らす孤児でした。彼には生まれつき「ポケモンの声(感情や思考)を聞き取る」という特殊な能力が備わっており、人間社会と隔絶された環境で純粋な信頼関係を築いていたのです。
そんなNを見出し、引き取ったのがプラズマ団の七賢人の首領であるゲーチスでした。しかし、それは温かい救いの手などではなく、冷酷な野望のための布石に過ぎませんでした。ゲーチスはNの特異な能力に目をつけ、彼を「ポケモンを解放する救世主」に仕立て上げる計画を企てます。
隔離された城の奥深くで育てられたNには、心ない人間に傷つけられ、虐待されたポケモンばかりがあてがわれました。「人間はポケモンを苦しめる悪しき存在である」という偏った価値観を徹底的に植え付けられたNは、ポケモンを人間の支配から解放するという純粋な使命感を抱き、プラズマ団の象徴たる「王」としての道を歩まされることになりました。