身長190センチ越えのアタッカーが立ちふさがる国際舞台において、159センチのセッターが世界トップに君臨するなど、かつては誰も想像すらできなかった。しかし竹下は、その常識を完全に破壊してみせた。
2012年ロンドン五輪。日本女子バレーボールチームが28年ぶりに手にしたあの銅メダルの陰には、文字通り命を削るような竹下の采配があった。相手ブロックの指先の動き、一枚跳びか二枚跳びか、相手ミドルブロッカーの重心がどこにあるのか。コート上のすべての事象をコンマ数秒で処理し、味方アタッカーが最も打ちやすい打点へとボールを送り込む。その職人技とも言えるパスワークは、世界中の名将たちをうならせた。
挫折からの復活劇も劇的だった。シドニー五輪出場権を逃した際、すべての批判を背負う形となり一時は競技から離れた。だが、その失意の底から這い上がり、日本代表の主将としてチームを世界3位へと押し上げた姿は、スポーツ史に残る重厚なドキュメンタリーそのものである。