では、ロキノン系が築いたものは完全に消滅してしまったのでしょうか。答えは明確に「No」です。
現在、日本のポップミュージックシーンを牽引するトップアーティストたちを見渡せば、その血脈がより洗練された形で脈々と受け継がれていることが分かります。
- 米津玄師:BUMP OF CHICKENやRADWIMPSへのリスペクトを公言し、緻密な文学性と物語性の高いリリックをスタジアム級のポップスへ昇華。
- King Gnu / Official髭男dism / Vaundy:卓越したプレイヤビリティとロックバンドのダイナミズムを保持しながら、ブラックミュージックやポップスの要素をハイブリッドに融合。
- 羊文学 / マカロニえんぴつ / Saucy Dog:下北沢系ギターロックの系譜を感じさせるエモーショナルなメロディと、痛烈なリアリティを持つ等身大の歌詞で若年層の共感を独占。
「ロキノン系」という言葉が使われなくなったのは、カルチャーが滅びたからではなく、その美学や構造がJ-POPの「標準仕様」として日本の音楽界全体へ完全に溶け込んだからに他なりません。