孤高の映画スターとして人生の幕を下ろそうとしていた高倉健の晩年において、極秘裏に生活を支えていたのが養女の小田貴月(おだ たか/本名:河野貴月)氏でした。1964年生まれの小田氏は、かつて女優やレポーターとして活動した経歴を持ち、ホテルジャーナリストとしても執筆を行っていた人物です。二人の出会いは1996年、香港のホテルで行われた取材の場でした。その後、文通や電話を通じて親交を深め、やがて高倉健の世田谷の自宅で家政婦およびマネージャーとして同居生活をスタートさせます。
高倉健が2014年11月10日に悪性リンパ腫のため83歳で死去した際、小田氏の存在は突然世間に知られることとなりました。高倉健は亡くなる前年の2013年5月、小田氏と法的な養子縁組を結んでいました。遺言書には「全財産を小田貴月に包括遺贈する」旨が記されており、遺産総額は約40億円に上ると報じられました。そこには世田谷区瀬田の豪邸敷地、港区や海外の不動産、巨額の預貯金、そして出演映画の著作権管理会社などが含まれていました。
小田氏は2019年に自著『高倉健、その愛。』を上梓し、2026年には『高倉健の背中 監督・スタッフが語る、健さんの素顔』を発表。メディア露出を重ね、17年間にわたる高倉健との献身的な生活、食事管理、闘病を支えた日々を赤裸々に綴りました。しかし、この一連の動きはファンの間や高倉健の実妹をはじめとする実親族との間で激しい摩擦と議論を巻き起こすことになります。