野球の魅力は、高校生の青春だけにとどまらない。大人の社会人が組織の存続をかけて挑む企業野球のドラマもまた、深い感動を呼ぶ。池井戸潤原作の『ルーズヴェルト・ゲーム』は、倒産寸前の精密機器メーカーと、解散の危機に瀕した社会人野球部の命運を重ね合わせた傑作だ。
制作を手掛けたTBSテレビの日曜劇場枠が得意とする、重厚な人間模様と圧倒的なカタルシス。「9点取られたら10点取り返す」という攻撃的野球の美学と、過酷なビジネスシーンでの攻防がシンクロし、働く大人の心を熱く滾らせた。グラウンドの上でも会議室の中でも、諦めない者だけに奇跡が舞い降りることを証明してみせた名作である。