テレビドラマにおける従来の「麻薬王」といえば、豪邸で大声を張り上げ、派手な金品を振りかざすイメージが一般的だった。だが、ガス・フリングにはそれが一切ない。ボロが出そうな派手な車には乗らず、質素なセダンを自ら運転し、店の従業員と一緒にゴミ箱の掃除すらこなす。徹底した潜伏能力と、徹底したリスク管理。この極めて現代的なビジネスマン風の佇まいが、逆に凄まじいリアリティを生み出した。
彼が画面に現れるだけで、部屋の空気が凍りつく。無表情な瞳の奥で、次の瞬間誰を消し去るべきか、ミリ単位の計算が弾き出されているのだ。観客は彼の一挙手一投足から目が離せなくなる。