日本の釣りを語るうえで欠かせないのが、国民的漫画『釣りバカ日誌』が描いたおおらかな釣り人像と、巨匠・矢口高雄が『釣りキチ三平』などで表現した自然への畏怖と叙情である。かつて昭和の時代に男たちの道楽として定着した釣りは、今や老若男女が楽しむライフスタイルへと変化を遂げた。
福島県白河市周辺の豊かな水辺は、まさに矢口高雄が描いた原風景を思わせる原初的な美しさを今なお残している。道具はデジタル技術によって飛躍的に進化したものの、自然と対峙する高揚感や、一匹の魚との駆け引きを楽しむ真髄は、今も昔も変わらない。伝統的な渓流釣りの作法を守りつつ、新しいスタイルを取り入れる柔軟さが、この地域の釣具店とアングラーの間に息づいている。