かつて日本の高校野球において、大差での敗北であっても「最後まで諦めずに泥にまみれて戦う姿」が美徳とされてきた。1998年夏の甲子園で起こった伝説的な逆転劇の数々は、9回裏2アウトからでも試合が動くという記憶をファンに刻み込んだ。その記憶こそが、コールドゲーム導入に対する心理的な抵抗感の根源にある。
だが、球数制限やタイブレーク制度が定着した今、ファンの意識も大きく変わりつつある。過剰な精神論によって投手の肘や膝が破壊される時代は終わった。大会中盤での無用な球数の重ね塗りを防ぐコールド規定は、単なる点差の打ち切りではなく、次の戦いに向かる球児の生命線を守る「現代の防壁」として再評価されている。