『九条の大罪』が他の法廷ドラマと一線を画しているのは、裏社会の構造描写の圧倒的な解像度です。作者の真鍋昌平氏は、前作『闇金ウシジマくん』で見せた綿密な取材力を遺憾なく発揮し、現代日本に潜む半グレ組織とヤクザの共生関係を生々しく描き出しています。
象徴的なのが、半グレのリーダー・壬生と暴力団「伏見組」の関係です。暴排条例の強化によって表立った活動が制限されたヤクザ(伏見組・京極)は、看板を持たない半グレ(壬生)を実働部隊として利用し、資金洗浄やグレーなビジネスを展開させます。一方で壬生も、警察や他組織からの防波堤としてヤクザの威光を利用する、極めてドライな共生関係を構築しています。
九条はこの危険な力関係の間に立たされ、いつ命を落としてもおかしくない状況下で弁護業務を遂行します。単なる悪人退治の勧善懲悪ではなく、「弱者が悪に食い物にされ、その悪もまた巨大な暴力に搾取される」という弱肉強食の連鎖が容赦なく描かれます。