通称「コルク半」と呼ばれるこのヘルメットの起源は、かつて安全基準が比較的緩やかだった時代に遡る。シェル内部の緩衝材として軽量で頭部に馴染みやすいコルク素材が採用されたのが始まりだが、次第に日本の若者たちの手によって独自のカスタマイズが施されるようになった。
特に「三つボタン」と呼ばれるあご紐の仕様や、後頭部を覆う革タレのシルエットは、当時の不良少年たちにとって強烈なアイデンティティの主張だった。富士日章や波間に踊る金銀のラップ塗装、さらには地元のチーム名や刺繍を施したスタイルは、夜の道路上における「旗印」そのものだったのである。