エレクトロニック・ダンス・ミュージックの概念を根本から覆した金字塔、アルバム『True』。その中でも異彩を放つトラックがアヴィーチーによる「Dear Boy」だ。ソウルフルな歌声で楽曲に圧倒的な生命力を吹き込んだのは、シンガーソングライターのオードラ・メイである。彼女の伸びやかでありながら湿り気を帯びたヴォーカルは、アヴィーチーが構築した緻密なメロディラインと完璧な化学反応を起こした。
アイランド・レコードおよびユニバーサル ミュージック グループのバックアップのもと世界へ送り出されたこの楽曲は、単なるクラブトラックの枠を遥かに超えている。アヴィーチーは、シンセサイザーの煌びやかな音像の底に、人間の泥臭い感情を忍ばせた。美しく切ないドロップが響く瞬間、聴き手はカタルシスに包まれる。巨大フェスの大歓声の中でも、イヤホン越しの一人の夜でも、変わらぬ感動を与え続ける理由がここにある。