一方で、横山裕はバラエティで見せる軽妙なキャラクターとは裏腹に、俳優として着実に牙を研いできた。近年では、舞台やシリアスなドラマでの怪演が高く評価されており、その演技スタイルは「引き算の美学」とも評される。余計な装飾を削ぎ落とし、ただそこに存在するだけで漂う哀愁や狂気が、彼の真骨頂だ。
本作で彼が演じるのは、過去の事件を追うルポライター。都会の喧騒に疲れ果て、真実を追い求めるあまり自己を見失っていく危うい男だ。中野演じる老女と対峙するシーンでは、彼の持つ「静かなる狂気」が限界まで引き出されている。これまでの彼のキャリアにおける最高傑作になるのではないか、そんな予感が漂う。