日本における昼飲みや居酒屋探訪のハードルを下げた立役者として、メディアやポップカルチャーの存在を忘れてはならない。酒場詩人・吉田類が各地の居酒屋を巡る『吉田類の酒場放浪記』は、飾らない酒場の美学を広くお茶の間に届けた。また、グラフィックデザイナーであり酒場探訪家の太田和彦が提示する美意識の高い居酒屋巡りは、大人の嗜みとしての酒場歩きを確立させた。
さらに、漫画からドラマ化され大ヒットした『孤独のグルメ』や『ワカコ酒』の功績も極めて大きい。主人公たちが食や酒と真摯に向き合い、独り静かに「ぷしゅー」と吐息をもらす姿は、一人で酒場に入ることに対する心理的ハードルを完全に打ち砕いた。作品に登場した名店を巡る聖地巡礼は、今や昼飲みの定番コースとなっている。