新校舎の設計思想で最も特徴的なのは、地域住民との物理的な「壁」を取り払った点にある。かつての防犯一辺倒の設計から一歩踏み出し、セキュリティを担保しつつも、地域に開かれたスペースを大胆に配置した。
例えば、放課後や週末になると、校舎の一部がコミュニティスペースとして開放される。そこでは地元の高齢者が自主的なサークル活動を行い、その傍らで生徒たちが自習に励む。世代を超えた日常的な雑談から、教科書には載っていない地域の歴史や知恵が自然と生徒たちに引き継がれていく。この緩やかなつながりこそが、現代の都市部で失われつつあった「地域で子どもを育てる」仕組みの再構築に他ならない。