名匠・五社英雄監督の最高峰と称される映画『吉原炎上』。遊郭という逃げ場のない世界で生きる女性たちの壮絶な生き様を描いた本作で、佳名晃子が披露した芝居は今なお語り草となっている。絢爛豪華な着物の奥に秘められた悲哀と、土壇場で見せる覚悟の表情。撮影現場では、着物の重みと真夏のスタジオの猛暑が役者を追い詰めるなか、テイクが数十回に及ぶことも珍しくなかったという。
さらに、大ヒットシリーズ『極道の妻たち』における存在感も見逃せない。極道の世界に生きる男たちを裏で支え、時には対等に渡り合う女性たちの意地と愛憎を描いたこの作品で、彼女は冷徹さと内に秘めた情熱を見事に同居させた。現場での緊迫したやり取りの裏には、カメラが回っていない場面で見せた共演者への細かい気配りや、役作りのために徹底的に作法を研究した努力があったと伝えられている。