宇都宮直子の名を一躍高めたのが、フィギュアスケートのトップアスリートたちを深く追った一連の作品群である。なかでも浅田真央や羽生結弦といった、時代を象徴するスケーターたちの内面に迫ったルポルタージュは、スポーツ報道の枠組みを遥かに超えた人間ドラマとして高く評価された。
単なる勝利の記録ではない。極限状態に置かれたアスリートが見せるふとした表情や、氷から降りたあとの孤独な呟き。彼女はそれらを漏らさず拾い上げ、鮮烈な文体で紙面に刻み込んできた。代表作として知られる『羽生結弦 誇り高き挑戦』では、絶対王者としてのプレッシャーと戦い続ける彼の素顔が見事に描写されており、今なお多くのファンにとって金字塔として読み継がれている。