しかし、時の試練に耐えてきた巨塔にも影が差している。ジャイプル市街地の急速なモータリゼーションに伴い、排気ガスに含まれる硫黄酸化物や微小粒子状物質が、歴史ある建造物の表面を痛めつけているのだ。雨が降れば微弱な酸性雨となり、大理石に刻まれた繊細な目盛りを少しずつ奪っていく。
インド文化省とユネスコは2026年、新たな保全枠組みを発足させた。赤砂岩の風化を防ぐナノレベルの透明保護コーティング技術を導入すると同時に、遺跡周辺の車両進入を厳しく制限する画期的な試みだ。古代の知恵を未来へ繋ぐための戦いは、時間との勝負の様相を呈している。