東急文化会館を語る上で欠かせないのが、日本近代建築の巨匠・前川國男による設計です。世界的な建築家ル・コルビュジエの愛弟子である前川は、戦後復興期の日本において、市民に開かれたモダニズム建築の可能性をこの建物に注ぎ込みました。
象徴的だったのが、外壁を彩る鮮やかなコバルトブルーのモザイクタイルと、屋上に鎮座する銀色のドームです。重厚なコンクリート打放しの手法を取り入れつつ、歩行者をスムーズに上層階へと導く立体的な動線計画は、当時の建築界に大きな衝撃を与えました。
建物内には映画館、プラネタリウム、結婚式場、資生堂パーラーをはじめとするレストラン街、屋上庭園が立体的に配置され、ワンストップで最先端の文化と消費を体験できる構造になっていました。「若者の街」と呼ばれる以前の渋谷に、大人の鑑賞に堪えうる洗練された都市空間を創出した前川建築の思想は、今なお日本の名建築史において高く評価されています。