家族という密室で生じる狂気や歪みは、いつの時代も表現者たちを魅了し、同時に恐れさせてきた。かつて黒澤明がその圧倒的な人間描写で社会の底底に潜む業を暴き出したように、映画界は常に時代の病理を鏡のように映し出してきた歴史を持つ。
実在の連続殺人事件と家族の崩壊を描いた映画『凶悪』のように、一見すると平凡な人々の心に潜む悪意や諦念を鋭く穿つ作品は、観客に強い倫理的問いを突きつける。さらに、格差社会と家族の寄生関係を強烈なブラックコメディとして描いた韓国映画『パラサイト 半地下の家族』は、世界的な現象となり、現代社会が抱える構造的困窮と断絶が世界共通の悲劇を生み出す土壌であることを知らしめた。