東京の食を支える巨大市場もまた、密漁ビジネスと無縁ではない。伝統的な築地市場から現代の豊洲市場へと拠点が移っても、長年培われた不透明な伝票処理や現金取引の慣行が、裏社会の介入を許す隙間を作り出してきた。鈴木氏の独占取材によって明かされたのは、指定暴力団である山口組をはじめとする主要組織が、どのように市場の仲卸や流通業者と接点を持っていたかという衝撃的な事実である。
密漁品は単なる闇取引にとどまらず、複数のダミー会社を経由することで「正規の仕入れ品」へと洗浄される。一度市場の競りにかけられれば、どんなに血塗られた魚であっても白となり、高級寿司店やデパ地下の鮮魚コーナーへと並ぶ。消費者がその真相を知る術はほぼ存在しない。