モンゴル出身力士の強さを語る上で欠かせないのが、歴代横綱たちが打ち立ててきた金字塔と、その陰にある壮絶なドラマです。第68代・朝青龍の爆発的なスピード相撲、第69代・白鵬の前人未到となる幕内最高優勝45回、第70代・日馬富士の鋭い立ち合い、第71代・鶴竜の変幻自在な技巧など、それぞれが独自の相撲美を極めました。
中でも、大相撲史において最大の奇跡と称されるのが第73代横綱・照ノ富士の歩みです。2015年に大関へ昇進した照ノ富士でしたが、その後、両膝の前十字靭帯断裂や半月板損傷、さらには糖尿病やC型肝炎など度重なる病魔に襲われました。大関から関脇、小結、平幕、十両、幕下、そして2019年春場所には序二段の48枚目まで番付を落としました。
当時の特番インタビューや手記において、照ノ富士は「何度も引退を申し出たが、親方(元大島親方・現在の伊勢ヶ濱親方)から『まずは体を治すことだけを考えろ』と引き止められた。土俵に戻ったときは、相撲が取れるだけで感謝しかなかった」と胸の内を明かしています。地獄のようなリハビリと食生活の徹底管理を経て、序二段から各段優勝を重ねて幕内へ奇跡の再入幕を果たし、2026年にはついに第73代横綱へと登り詰めました。この不屈のドラマは、単なる勝負を超えて日本中の相撲ファンに深い感銘を与えました。