波長が短い通常の波は、海面付近の水だけが動いている。しかし、津波は海底から海面までのすべての海水が一塊となって押し寄せる。つまり、引きずる水の「質量」が桁違いなのだ。
水深が浅くなるにつれて波の高さは増し、陸地に達した水流は凄まじいエネルギーを持つ。わずか30センチメートルの浸水であっても、大人は足元をすくわれて歩行不能になる。これが50センチメートルに達すれば、車は浮いて流され始め、1メートルになれば人間は自立することすらできず、そのまま濁流へと巻き込まれてしまう。
さらに、津波は綺麗な水ではない。瓦礫、土砂、倒壊した家屋の破片、車などを巻き込んだ「混相流」だ。この濁流に巻き込まれれば、激突による骨折や意識喪失、あるいは瓦礫に挟まれて身動きが取れなくなり、溺死に至る。生存率が極めて低いとされる理由は、ここにある。