テレビで見かけなくなった最大の理由は、彼自身の「引き際の美学」にある。美輪はかつて、「見苦しい姿は晒したくない」と語っていた。完璧に計算されたメイク、衣装、そして立ち振る舞い。そのクオリティを維持できないのであれば、安易にカメラの前に立つべきではないという、プロフェッショナルとしての矜持だ。
その代わり、彼は「声」と「文字」による表現にシフトしている。長年続くラジオ番組や、雑誌での連載コラムは、彼にとって社会と繋がる重要な窓口だ。収録は自宅やプライベートスタジオで行われることが多く、体調に無理のない範囲で続けられている。リスナーから寄せられる人生相談に、時に優しく、時に厳しく答えるその声は、かつてと変わらぬ深い慈愛に満ちている。