かつて社会現象を巻き起こした『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』の時代、既婚者の密会は背徳感と破滅への道を描くサスペンスフルな情事として描かれていた。過激な愛憎劇として消費されていた不倫劇は、時代の変化とともに静かな共感を呼ぶ人間ドラマへと変貌を遂げている。
その転換点となったのが、大ヒットを記録した作品『あなたがしてくれなくても』だ。セックスレスに悩む夫婦の孤独と、心の穴を埋め合うかのように惹かれ合う男女の姿は、多くの視聴者の心を揺さぶった。現在、Netflixなどの動画配信サービスやABEMAの報道番組でも、こうした婚外恋愛や新しい夫婦のあり方が連日議論されている。かつてのドロドロとした泥沼愛憎劇から、個人の精神的な自立や救済を求める「恋愛ドラマ」的リアリティへの変化。メディアの描写の変遷は、日本人の恋愛観が静かにリニューアルされている現実を雄弁に物語っている。