ネット上の情報や噂話の中には、制度上の事実とは異なる誤解が少なからず存在します。トラブルに巻き込まれた際に冷静に対処するため、正確な知識を持っておくことが不可欠です。
よくある誤解が「弁護士が逮捕されたら、その瞬間に自動的に弁護士資格が剥奪される」という思い込みです。実際には、憲法上の「推定無罪の原則」があるため、逮捕や勾留の段階で当然失職することはありません。弁護士会が緊急的に懲戒手続きを進めることはあっても、法的に完全に資格を失うのは刑事裁判で判決が確定した時点、あるいは弁護士会の除名処分が確定した時点です。そのため、弁護士逮捕のその後において、保釈中や控訴審の係争中に形式的な資格が維持されている期間が生じるという構造的なタイムラグが存在します。
また、「同じ法律事務所の所属弁護士や弁護士法人なら連帯して返金してくれるはずだ」という点も注意が必要です。個人事業主としてのイソ弁(勤務弁護士)や単なる共同オフィス(経費共同型)の場合、横領を行った弁護士個人の単独犯行とみなされ、他の同居弁護士に民事上の返還義務が認められない判例が少なくありません。法人化されている弁護士法人でなければ、事務所全体への責任追及は法的に高いハードルが存在します。