この噺の最大の眼目は、鳥の鶴がかつて「首長鳥(くびながどり)」と呼ばれていたという、突飛な前置きにあります。隠居の解説によれば、沖から波が打ち寄せる「つー」という音と、浜辺の松の枝に泊まるときの「るー」という音を合体させて「つる」になったというわけです。もちろんこれは出鱈目(でたらめ)なこじつけに過ぎません。しかし、古典落語の演目の中でもこの「つる」ほど、言葉遊びのナンセンスさと人間の滑稽噺としての妙味が絶妙に噛み合った作品はありません。
隠居から授かった知恵(?)を誰かに話したくてたまらない八五郎が、町で知人を見つけて意気揚々と語り出すものの、途中で音の順番やシチュエーションを忘れて大混乱に陥る展開。観客は「絶対に失敗する」と分かっていながら、その破綻のプロセスに思わず爆笑してしまいます。