口元の歯並び自体は綺麗に整っている。ガタガタだった前歯はまっすぐになり、噛み合わせも悪くない。それなのに鏡を見るたび、言いようのない違和感と失望に襲われる。2026年現在の歯科臨床において、こうした「歯列の整列」と「顔貌の美しさ」の解離が大きな課題として浮上している。
原因はシンプルだ。歯の角度や歯列だけに目が行き、その上を覆っている「唇」「頬の脂肪」「表情筋」といった口周囲の軟組織の変化が計算に入っていなかったためである。前歯の位置を後ろに下げすぎると、唇を支える台座が失われ、口元が萎んだ印象を与える。歯は綺麗に並んだものの、顔全体としては立体感を失ってしまうのだ。