彼の活動領域は英国にとどまらない。地中海を望むモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督・音楽監督としての顔もまた、彼の異才を証明する要素だ。洗練されたフランス音楽のニュアンスと、オペラにおけるドラマチックな展開力。モンテカルロでの活動を通じて研ぎ澄まされた色彩感覚は、彼の音楽全体に艶やかな気品を与えている。
一方で、日本の音楽界への貢献も忘れない。読売日本交響楽団などの国内主要オーケストラとの定期的な共演や、若手育成のためのプロジェクト。欧州と日本を多忙を極めるスケジュールで行き来しながらも、一切の妥協を見せない集中力には驚嘆の声が上がる。「どこにいても、目の前のオーケストラと最高の音楽を作るだけ」——本人が語るそのシンプルな哲学が、過密日程を感じさせないみずみずしい演奏を支えているのだ。