読者が最も衝撃を受けた疑問が、「なぜ髪に芋けんぴがついていたのか」、そして「なぜそれをそのまま食べたのか」という点です。物語の展開を丁寧に紐解くと、そこには少女漫画ならではの胸キュンロジックが緻密に組み込まれていました。
作中では、双子の姉妹の入れ替わりを巡る複雑な恋愛模様が描かれています。ヒロインが感情を高ぶらせながら直前まで芋けんぴをポリポリと食べていた場面があり、その際に偶然お菓子の破片が髪の毛に引っかかっていました。そこにイケメンヒーローがすっと手を伸ばし、髪から芋けんぴを取り除きます。
少女漫画の王道演出として、「口元や髪についた食べかすを意中の相手が指で取って自分の口に入れる」というスキンシップ表現が存在します。相手の無防備な可愛らしさを愛でつつ、間接キスを意識させてドキドキを煽る古典的かつ強力なシチュエーションです。
しかし、本作で用いられた小道具は、柔らかい生クリームや小さな米粒ではなく、細長くて硬質な芋けんぴでした。ヒーローは優しく微笑みながら「芋けんぴついてるよ」と告げ、取った芋けんぴをそのまま「カリッ」と軽快な咀嚼音を響かせて食べたのです。この「カリッ」というリアルな擬音とシチュエーションのシュールさが、読者の情緒を激しく揺さぶることになりました。