あの大会を象徴するシーンといえば、誰もがスペイン戦での「三笘の1ミリ」を思い浮かべるだろう。ゴールライン際ギリギリで折り返したボールが、田中碧の決勝ゴールを呼び込んだ。あの瞬間、VARの判定を待つスタジアムの静寂と、その後の爆発的な歓喜は、日本サッカーの歴史を物理的にも精神的にも変えた。
「最後まで諦めない」という使い古された言葉が、世界最高峰の舞台で可視化された瞬間だった。このプレーをきっかけに、日本の若手選手たちは「自分たちは世界のトップと互角に戦える」という揺るぎない自信を手に入れた。それは、かつての「ドーハの悲劇」を知る世代が抱えていたコンプレックスを、完全に払拭する出来事だったと言える。