2026年の渋谷は、かつての「若者の街」という単一のイメージを完全に脱ぎ捨てた。巨大IT企業のオフィスが入居する複合高層ビルが立ち並び、昼間は世界中から集まるビジネスパーソンが街を行き交う。しかし、日が沈み街灯が灯る頃、道玄坂が持つもう一つの顔が浮き彫りになる。
かつて坂の周辺に点在していた古き良き店舗や歴史ある建造物は、大規模な街区再編に伴いその姿を消しつつある。だが、路地裏に一歩踏み込めば、幾層にも重ねられた都市の記憶が静かに漂っている。先進的なスマートシティ化が進む一方で、人間的な湿度とプライベートな時間が交錯するこの一角は、訪れる人々に都市の多層性を強く実感させる。