この歴史的名作を生み出す原動力となったのが、監督を務めた本広克行と、キー局であるフジテレビジョンの大胆な制作体制だ。当時のテレビ刑事ドラマといえば、拳銃乱射や激しいカーチェイスが主流だった。しかし本作は、警察内部の官僚主義や書類仕事、予算配分、本庁と署の格差といった「組織のリアル」に焦点を当てた。
本広演出の冴え渡るテンポ感、緻密に練られたカメラワーク、さらには伏線が張り巡らされた群像劇の構成は、従来のテレビドラマの枠組みを根底から壊した。映画化された『踊る大捜査線 THE MOVIE』は当時の邦画実写映画における興行収入記録を塗り替え、日本エンタメ界の地図を劇的に塗り替えたのだ。