科学的な調査によって突き止められた直接の原因は、原材料乳に含まれていた「黄色ブドウ球菌エンテロトキシンA型」という強力な耐熱性毒素であった。北海道の大樹工場で発生した停電事故に伴い、脱脂粉乳の原料となる生乳が長時間適切な温度管理から外れ、菌が増殖して毒素が産生されたのである。
この耐熱性毒素は一般的な加熱殺菌では無毒化されない。そのため、汚染された脱脂粉乳が大阪工場へと送られ、「雪印低脂肪乳」などの製品として製造・出荷された際にも毒性を維持し続けた。
製造工程における温度管理の破綻と、危険を見逃した品質検査の空洞化。本来であれば複数重のチェック体制で食い止めるべきリスクが、複雑に入り組んだ供給網の途中で完全に見落とされていた事実は、食品製造における工程管理の怖さを鮮烈に知らしめた。