事件から10年以上が経過した現在も、ネット空間では小保方氏をめぐる様々な都市伝説や誤情報が飛び交っています。情報リテラシーの観点から、これら代表的な誤解の真相を検証します。
第一の誤解は、「海外の極秘研究所で研究を継続している」という風説です。一部のまとめサイト等で「米国の大学が彼女を招聘した」といった言説が見られますが、国内外の研究者データベース(researchmapやPubMedなど)を照合しても、彼女が関与した学術論文や研究資金(科研費等)の受給実績は一切存在しません。研究職からの完全な引退は動かしがたい事実です。
第二の誤解は、「STAP細胞の特許が海外で取得され、実用化された」という陰謀論です。ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授らが関連特許を出願していた事実はありますが、酸処理による多能性獲得(STAP現象)そのものは世界中のトップ機関が追試を行った結果、誰一人として再現できませんでした。現在、世界の再生医療は山中伸弥教授の確立したiPS細胞技術を基盤に実用化が進んでおり、STAP技術が他国で実用化されたという事実は完全に否定されています。
第三の誤解は、「巨額の印税で悠々自適のセレブ生活を送っている」という見方です。『あの日』の印税収入は数千万円規模に上ったと推計されますが、長期にわたる弁護士費用や過酷な療養生活、身辺警備の負担を考慮すれば、決して贅沢な暮らしを謳歌できる状況ではありません。洋菓子店で自ら働いていたという事実こそが、市井の生活者として自活を選んだ彼女の現実を証明しています。