2026年現在、分析技術の劇的な進化によってセンダンが秘める化学物質のメカニズムが次々と明らかになっている。古くから「実を食べると死に至る」と恐れられてきた理由は、果実や樹皮に含まれる「メリアトキシン」や「トウセンダニン」などのテトラノルトリテルペノイド化合物だ。特に未熟な実を小動物や幼少期の子どもが誤飲した場合、激しい吐き気や中枢神経系の麻痺を引き起こす危険性がある。
しかし、毒と薬は背中合わせだ。近年の先端バイオ研究では、この強い毒性成分を極微量かつ精密に抽出・精製することで、耐性菌に対する新しい抗菌アプローチや、特定の癌細胞株に対する増殖抑制効果についての実験データが集積されつつある。農学分野においても、化学合成農薬に頼らない天然由来の有機防虫剤としての可能性が実証され、毒性を安全な効能へと変換する技術が現実味を帯びてきた。