歴史を巻き戻してみよう。東京証券取引所を中心に日本経済が未曾有の繁栄を誇っていた昭和末期から平成初期、株主総会は文字通り「暗闇の戦場」だった。企業の弱みを握るプロの交渉屋たちが議場を占拠し、数分で総会をシャンシャン総会として終わらせる見返りに、莫大な「対策費」を受け取っていた時代だ。
この癒着構造に楔を打ち込んだのが、警視庁暴対課を中心とする徹底的な摘発作戦だった。1990年代後半、大手証券会社やメガバンクのトップが相次いで逮捕される空前絶後の不祥事が発覚。企業と裏社会の闇に捜査の手が伸び、法改正によって利益供与への罰則は大幅に強化された。こうして、日本経済の恥部とされた存在は市場から駆逐されたかに思われた。
だが、捜査幹部が明かす実態は甘くはない。暴力団対策法や組織犯罪処罰法が整備されてなお、表面上の締め出しが進んだことで、資金の流れはより不透明になり、見えにくい地下へと潜伏したに過ぎないのだ。